埼玉県川越市

今月は埼玉県西部にある川越市をご紹介いたします。川越市は江戸時代には親藩・譜代の川越藩の城下町として栄え「小江戸」の別名を持つ古い町並みの残る地域です。幸いにも戦災や震災を免れたため今でも歴史的な街並が残っており、年間約700万人もの観光客が訪れます。また川越の総鎮守である氷川神社のお祭りの山車行事はユネスコ無形遺産にも登録されています。
室町時代に上杉氏の家宰であった太田道灌によって河越城(川越城)が築城され、次いで北条氏の武蔵国支配の拠点となりました。さらに川越城を擁する川越藩は江戸幕府の北の守りとなり、武蔵国一の大藩としての格式を誇り、酒井忠勝・堀田正守・松平信綱・柳沢吉保など大老・老中クラスの重臣や御家門の越前松平家が配されてきました。そのため江戸時代から商工業や学問の盛んな城下町であり、今日でも多くの学校のある文教都市です。2009 年 4 月から 9 月まで放送された NHK 連続テレビ小説「つばさ」の舞台にもなりました。さらに童謡「とおりゃんせ」は城内にあった三芳野神社を舞台にしたものだといわれています。庶民は気軽に参拝できるものではなく、帰りは厳しいチェックが待っていたので「行きはよいよい帰りは怖い」と歌われています。また川越は古くから鰻と芋菓子が名物で、老舗の鰻店や菓子屋が何軒もあります。東京から車で約一時間という近距離も手伝って、城下町川越は歴史に基づいたグルメの街としても人々に愛されています。