2018 年のニュースレター巻頭シリーズは世界の名画をお届けします。第一回はエドガー・ドガの作品「ダンス教室」です。
印象派の巨匠として名を知られるエドガー・ドガはフランス革命後に勢力を伸ばした新興ブルジョワの銀行家の家に生まれ、21 歳の時にエコール・デ・ボザール(官立美術学校)でアングル派の画家ルイ・ラモットに師事し、入念にデッサンを繰り返して作品を完成させるアカデミー画家のスタイルに強く影響を受けました。またその頃にイタリアを訪れ、古典美術も研究しています。
印象派の画家として名を知られるドガですが、その一方で、屋外で光と影を写し取ろうとした典型的な印象派の画家達とは異なり、室内で描かれた作品が多く、制作の基盤はルネサンスの巨匠やアングルの画風に強く影響を受けています。
また室内作品が多い理由として、ドガが普仏戦争に従軍した際に網膜の病気を患い外出がままならなかったこと も関係しているという説もあります。
ドガの作品にはバレエを扱った主題、ことに楽屋や練習風景といった一般人では出入りできない場面を描いたも のが多く、それは他の印象派の画家と比べれば銀行家の裕福な家庭の出身であったため、上流階級の社交場だっ たパリ・オペラ座の定期会員になることができ、彼の多くの作品がそこから生み出されました。当時、座席を年 単位で購入する定期会員のみがオペラ座の楽屋や稽古場に自由に立ち入ることが許されていました。
しかし、1874 年に銀行家の父が死去し、長男であったドガは父が残した莫大な借金を引き継いでしまい、その返 済のために大量に絵を描く必要がありました。また晩年は視力が衰えたため彫刻を制作しました。享年 83 歳。
■エドガー・ドガ(Edgar Degas) 生没年 1834 年 7 月 19 日−1917 年 9 月 27 日
作品タイトル「ダンス教室 / The Dance Class」 1874 年制作
メトロポリタン美術館所蔵作品
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