ムーランルージュのポスターなど浮世絵から影響を受けた独特な構図で有名な画家アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックは、1864 年に南仏の地方都市アルビでフランス有数の名家に生まれました。父親アルフォンスは伯爵でしたが、かなりの変人でした。 ロートレックが幼い頃に弟が亡くなり、それにより両親は離婚。母と共にパリへ移り、絵を描き始めます。しかし 14 歳の時に左右の大腿骨を骨折し、その結果、両足の発育が止まってしまいアルバに戻ります。成人しても彼の身長は152センチのままでした。
1882 年、再度パリに出たロートレックはモンマルトルに住みながら画塾に入り、そこでポスト印象派の画家ベルナールやヴァン・ゴッホと出会います。1899 年、パリの有名なナイトクラブのムーラン・ルージュが開店し、その 2 年後、ムーラン・ルージュのポスター作成依頼が 27 歳のロートレックのもとへ舞い込んできました。
彼が制作したポスター(右の写真)は大変な反響を呼び、ロートレック自身にも大きな成功をもたらしました。しかし 1899 年、長年の深酒による重度のアルコール中毒となったロートレックは、病状を心配した母親によって強制的に精神病院に入れられます。
3 ヶ月後に一旦退院したものの、飲酒を止めるができず 1901 年には片足が麻痺し、さらに同年の 8 月には脳出血を起こして母親の元で亡くなりました。享年 37 歳でした。 ロートレックはキャバレーの踊り子やサーカスの曲芸師、競馬場の馬などを多く描いています。身体の障害によって 自らが参加できなかった運動というものを、正確な観察眼と卓越した構図によって描き出すことに心の中の渇望を注 いだのかもしれません。
■ ア ン リ ・ マ リ ー ・ レ イ モ ン ・ ド ・ ト ゥ ー ル ー ズ = ロ ー ト レ ッ ク = モ ン フ ァ ( Henri Marie Raymond de Toulouse-Lautrec-Monfa) 生没年 1864 年 11 月 24 日−1901 年 9 月 9 日
作品タイトル「ムーラン・ルージュのラ・グーリュ」1891 年製作
トゥルーズ=ロートレック美術館(フランス・アルビ)所蔵
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