アンリ・ ルソー

フランス絵画の素朴派と呼ばれるアンリ・ルソーは 1844 年、フランスのラヴェルで板金工の第3子として生まれました。7 歳のときに父親の商売が行き詰まり、家が競売に出されます。高校中退後、一時法律事務所に勤務しますが、そこで悪事に巻き込まれて一ヶ月の禁固刑となりました。
志願兵となり5年間の軍役を経てパリの入市税関の門番の職を得ます。貧しいながらも生活が安定したルソーは結婚し、1880 年頃から絵を描くようになります。しかし最初の妻クレマンスが亡くなり、子供も幼くして亡くし、2 番目の妻ジョゼフィーヌにも先立たれるなど、家庭生活では決して恵まれませんでした。1886 年、小額の会費を払えば誰でも無審査で出 品できる「アンデパンダン展」に作品を出します。1893 年には独学で描き続けていた絵に専念するために 22 年勤務 していた税関を退職し、その後、多くの作品を描きました。しかしルソーの絵は、ロートレック、ゴーギャン、ピカソなど 少数の理解者にしか評価されませんでした。晩年、ルソーはある手形詐欺事件で拘留されてしまいます。この件に ついての真相は不明です。 1910 年、パリの病院で孤独のうちに敗血症で死去しました。享年 66 歳。
■アンリ・ジュリアン・フェリックス・ルソー(Henri Julien Félix Rousseau)
生没年:1844 年 5 月 21 日〜1910 年 9 月 2 日
作品タイトル:夢(Le rêve)1910 年制作 ニューヨーク近代美術館(MoMA)所蔵
(大富豪ロックフェラー家からニューヨーク近代美術館へ寄贈された作品です)
■素朴派(ナイーヴアート)とは、一般に画家を職業としない者が正式の教育を受けぬまま絵画を制作しているケー スを意味する。