バンフィールド

8月末から9月初めは、北米西海岸地域は乾燥晴天が多い季節でもあります。夏休みの終りであり新学期の始まる直前のレイバーデイ連休から暫くは快適な気象が続くのでカナディアンは屋外活動を楽しむのが恒例の様です。 
2019年9月初旬Vancouver島のポートアルバーニ市からフェリーボートで奥深いフィーヨルドのアルバーニ入江をゆっくりと眺めながらの4時間半程の船旅の後、カナダの西端に当たるバンフィールドと言う昔鮭釣りで有名な僻地にリトリート(避暑・写生合宿)に行きました。色々な漁船やカナダで唯一の海上ポストオフィス、小さな湾に縋って立つ避暑村などの珍しい発見がありました。その上、鯨まで観れるのです。
FCA(カナダアーティスト連盟)会員30名ぐらいのアーティストが参加し、3人の著名アーティストが招かれ小グループに分散行動し、4日間の屋外写生プログラムを満喫しました。
この僻地にはカナダ海洋科学研究所があり、カナダの諸大学が連携して研究を行なっているのです。研究所が研究者用宿泊施設や近辺海上交通案内等を提供してくれ、絵描き達は各自重い道具を担いで連日砂浜、小島、湾等を訪れ、弁当掛けでアン・プレーン・エア(En Plein Air Painting・屋外現場写生画)を連日楽しみました。上図はロングビーチで有名なウクルエレット町に近いBroken Islands 国立公園海域(Pacific Rim National Park の一部です。)


題: 「Sea Stack」(海の岩柱) Helby Island, Bamfield, B.C.

水彩画: 10”x 14” (250 mm x 360mm) アーチス水彩紙。

最終日の作品展にてバンフィールド海洋科学研究所在住の研究者夫婦が購入。後日売らねば良かったのにと後悔しています。私は二度と同じ様な感情で描けないからです。

題: 「霧が侵入するパチナ湾」Pachena Beach, Bamfield、B.C.

水彩画: 10“x 14” (250mmx360mm)アーチス水彩紙.

パチナビーチは、5〜7日間は要する厳しいバックパック・ハイキングで知られるWest Coast Trail の北入口地点です。この湾はまっすぐ遥か彼方の日本を臨むカナダの西端であり太平洋に直面する為、天候は変化が激しく霧が多い海岸線です。

厳しい伝染病で世界が苦しみ、世界中の政治経済が混乱したり、地球温暖化により多発する自然環境に伴う大規模災害にも拘らず、我々は人生最高の時間をバンクーバーに住まわせて頂き、北米大陸のリアス海岸の変化に富む原生の環境に接し、それらを自由に楽しめる生活が享受出来る事への感謝の気持ちで一杯です。