特別教養講座「北米漁業と日本」
桜楓会主催、在バンクーバー日本国総領事館後援、バンクーバー新報協力で、特別講演会「北米漁業と日本」が7月5日にリッチモンドの JTB ビル会議室で開催され、約 50 名(内桜楓会会員約 30 名)参加者が集い、熱心にお話を聴いていました。
講師の栗田清氏は元外務省の職員で、バンクーバー総領事館に派遣され勤務されていましたが、退官後は日本の大手水産会社の役員に就任されました。北米地域の水産業界に精通し、日本の大手水産業日刊新聞社北米支局長となられてからは、北米はじめ世界の水産業にまつわるニュース記事を毎日発信しており、名実ともに北米漁業界の第一人者です。
挨拶に立った岡田総領事からは、「バンクーバーは北米で最初の領事館が開設された場所で、それは日本の漁師さんが大勢来て居りそのサポートをするために、1989 年に開設されたものです。 バンクーバー・カナダ・北米と日本の漁業は重要で、メトロバンクーバー地区に 870 軒もの日本食レストランがあり、この意味からも本日の講演会は興味深いものです。」とのお話をいただきました。
栗田講師の講演に依ると、1976 年にアメリカが領海 200 海里法設定を実施するまで、日本の漁船はそれまでの領海 12 海里ぎりぎりまで入って漁場としていたが、200 海里法が実施されてからは アメリカは日本への魚類輸出国となってしまった。 カナダも 200 海里法を設定したが漁獲能力が低かったので、200 海里内でも日加漁業協定に基づいて有料で日本漁船操業を認めていた。
しかし今日、カナダもアメリカ同様に水産技術を向上させ、今や日本への水産物輸出国へと変貌しています。
アメリカ最大の魚介類輸出場所はアラスカで、魚種は紅さけ、ニシン、スケソ、銀鱈、キンキ、アカウオなどです。 一方、カナダ最大の魚介類輸出場所は BC 州で、その種類は数の子昆布、ウニ、サケ、ニシン、銀鱈です。また、大西洋岸諸州からはズワイガニ、抱卵ニシン、シシャモ、ホッキ貝、黒マグロなどが輸出品目となっています。 最近の傾向として、地球温暖化の影響で温かい地域の魚が北に上がってきており、同時に北海地域の魚が更に北上しています。 このため、冷凍設備と加工施設など持った大型漁船でないと対応出来なくなってきています。 今後も健康食品である魚介類の需要は日本ののみならず世界中で拡大して行くので、北米の漁業は更に重要なものとなってゆくことが考えられます、と結んだ。
なお本日の講演会の様子は、近日発行予定のバンクーバー新報に見開き記事として紹介されます。
講演終了後、総領事館の富領事から総領事館への各種届け出書類の説明がありました。
在留届、移転届け、帰国届け、在外選挙人登録など実際の書式書類も準備いただき、参加者からは質問も相次ぎました。
こうして、桜楓会として初めて一般参加者を受け入れたイベントは成功裏に終了しました。
(文責 九十九)

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