当日(9月3日)は41名の参加者があり、盛大に終了致しました。 以下、講座内容になります。
1、歯周病はどんな病気?
歯の表面に付着するプラーク(歯垢)によって、歯周組織に 炎症が起きる病気です。その症状は、歯周ポケット(歯肉溝)が形成され、歯肉が腫れたり出血したり、膿んだ りし、歯周組織が支えている歯がぐらつき、酷くなると歯が抜けてしまいます。
初期の段階では、組織の一番外側の歯肉に炎症が起きる歯肉炎ですが、病気が進むと組織の内部にある歯槽骨に炎症が及びます。これが歯周病といわれるもので、この 段階になると全身に悪影響を及ぼすことになると考えられています。
2、 日本人の罹患
加齢と共に罹患率が上昇、60 歳前後では 50%以上、55歳以降で重度になる人が増加し、65歳を過ぎると急激に歯を失う人が増えてくるのです。このように歯周病は日本人に多い病気であり、歯を失う最大の原因になっています。
3、原因
歯周病の原因はプラーク(歯垢)です。これは食べかすではなく約 300以上の最近の塊です。このプラークは嫌気性で空気が少ない歯周ポケットに入り込むと、急激に繁殖有害物質を出して炎症を起こします。
4、診断・判定
歯周ポケットの溝を測り、5mmを超えると手術が必要になります。またピンセットで歯のぐらつきを測ったり、X線で歯槽骨の溶けた程度を見ます。
5、治療
歯周病は根治するのは難しい病気なので、それ以上進まないようにします。治療法としては、まずプラークコントロールなどの処置をします。それでも改善しない場合は、外科的手術で炎症性組織を除去するフラップ手術、再生療法(GTR法・エムドゲイン・インプラントなど)を施します。
6、 どのような病気を引き起こすのか
動脈硬化・心臓病・誤嚥性肺炎・早期低体重出産・糖尿病などが報告されています。
歯肉内の歯周病菌や炎症性サイトカイン(炎症症状を引き起こす原因因子)が歯肉の血管から血中に入り、動脈壁の血管を硬くしたり、心臓弁の周りに菌が付いたり、口腔内の菌が誤嚥によって肺に入ったりして病気を引き起こすと考えられています。糖尿病との関連は、血液に流れた菌や炎症性サイトカインの1つである TNF· e が、インシュリンの働きを阻害するといわれています
7、 生活習慣病との関係率
日本人の国民病とも言われている糖尿病との関連が特に注目されています。日本の糖尿病患者は予備軍を含めて 2,210 万人、その95%が歯周病に罹っているのです。 また、肥満の人はやせている人に比べて歯周病が悪化し易い、歯周病患者は健康な人に比べて中性脂肪濃度が高 いという報告があり、肥満を基とするメタボリック症候 群と歯周病とは互いに関連が深いと考えられています。 例えばタバコを控え、欧米食を減らし、生活習慣病を直せば、歯周病も改善されるということなのでしょう。
8、予防
歯周病の予防は一日3回、食後3分以内に3分間の歯磨きが基本です。お勧めの歯ブラシは、柄はまっすぐ、 ヘッドは小さめ、毛は3列に植えられたシンプルなものが良いそうです。定期的に歯科医の検診を受け、歯石の除去などの処置をうけることも必要です。 文: 藤野美津子さん
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