文化講座「江戸期、日本一持続した社会」落合栄一郎工学博士

6月5日(木) 午前 11 時から日系文化センターで落 合栄一郎工学博士による文化講座 「江戸期、日本一持続した社会」が開かれました。先生は東京神田生まれの江戸っ子で、東京大学化学系博士課程修了、東大工学部助手を経て大学紛争の日本を離れアメリカの代りにカナダに落ち着きブリティッシュコロンビア大、メリーランド州立大、トロント大、スエーデンウメオ 大、米ジュニアタ大で化学の研究と教育に従事。 米ペンシルバニア、ジュニアタ大名誉教授。

博士の書いた本はハーバードやプリンストン大学の大学院の教科書にもなっている Bioinorganic Chemistry (生物無機化学)の碩学。目下専門の生物無機化学の 3冊目を執筆中だが、この分野だけでなく、ジュニアタ大で学生があまりに日本のことを知らないのに驚き、 日米欧文化の比較研究にも入り込んだ。アメリカ以外の異文化を知らないがため、あのアメリカ NO1 という独善に落ち込んでしまう。今回はあの江戸時代、長い平和な鎖国の時代、鎖国政策で物、人、情報の出し入れが無い、海外からの資源が入らない状態でソーラーエネルギーの助けだけで江戸の市民生活を支え且つ独自の高い文化を発展させた江戸期の日本について講演していただきました。どのような精神と手法で平和と高い文化社会を維持したのか。この話はこれからの地 球人類の持続可能な社会構築のモデルでもある。

その頃は確かに人口が少なかったが、勿体無いの精神、 修理して、捨てないで徹底したリサイクル、物の命を最後まで使い切る精神、イカケ屋トギ屋ローのたれ集 め屋、オワイ屋。竈の灰さえ捨てていない。江戸 100万都市に下水道がなかった。これを文明の遅れと見る 人が居るが、否、すべてを使い切ったために川に流す 汚水汚物が無かった、川はキレイだった。戦国時代は確かに環境破壊が進んだが江戸時代でこれが修復され た。人類は全生物の 0.01%(体重比で)なのに、この人類が全生物生産量の 25%, 全地球の真水の1/3を消費 している。確かに昔は貧しかった。平均寿命も短かった。物も食物もなかった。だけど立派に安定した持続社会を保っていた。菜食主義、足るを知る、欲望を制限する教えは仏教にしかない。対して欧米の考えは、人類は魚も鳥も家畜も、この地上の生きとし生けるも のの支配者である。「産めよ増やせよ地に満てよ。」の世界である。(創世記) 

今、カーボン排出を減らせだとかあげくの果ては排出権取引だとか、チャンチャラおかしな、姑息な枝葉の事を議論しているが、もっとガマンする、戦後の何も無い時代に返れ、とは誰も言わない。これを言うと政 治家は不人気になるから。 60年前に戻りましょうと言うのは編集者だけか。 

 博士はバンクーバー9条の会会長としても活躍されて います。