健康講座「水は巡る-地球の水と身体の水」石川まりこさん

9月8日(金) 午後1時から2時30分まで日系センターでオーガニック・ライフ・サークル広報担当の石川まりこさんによる健康講座「水は巡る-地球の水と身体の水」がもたれました。  

 BC 州に住むわれわれは豊富で良質な軟水に恵まれて、気がつかない内に一人当たり一日、実に600リットルもの水を湯水の如く消費しているのに、地球全体では75%の人々は深刻な水不足に悩んでいる現状に就いて先ず触れられ、健康な大人は何も食べずに水だけ飲んでいても3週間ぐらいは生存できるほど、水は貴重な資源であることを指摘されました。そもそも、地球上に現在存在する水の量は、質量不変の法則によって一定であることを認識せねばなりません。従来、自然界の摂理で地球上の生物は安全に飲める水量に恵まれてその生存が常に増加して、特に文明圏における消費水量が更に増大 し、かつ、人間による大気汚染が著しく、自然現象による水の浄化が困難な状況となっています。このまま、適切な対策を講ぜずに推移すれば、それほど遠くない将来に、当地でも水問題は重大な局面を迎えることになります。

水質汚染の元凶は農業での薬品の使用、特に膨大な化学 肥料の散布による汚染です。自然の力での浄化のサイクルは既に崩れております。最良の対策は有機農業の普及によって、水質汚染に歯止めを掛けることです。水質汚染の事例として、洗剤を取り上げて見ますと、植物系石鹸は生物分解で魚が住める水質に戻るのに30日間必要です。他方、合成洗剤は5倍以上の日数が必要となります。また、牛乳や味噌汁で汚れた水を浄化するには5000倍の水が必要なのに対して、ペンキや食用油で汚染された水は5万倍の水量を要します。このように一度汚れた水を元に戻すのは容易ではありません。 環境に配 慮すれば植物洗剤をもっと利用すべきですが、現在は合成洗剤に比べて生産量が遥かにすくないため、高価格が利用普及の難点となっています。人々が環境浄化の意識に目覚めて、消費量が増えれば、当然価格が下がります。しかも、植物洗剤のほうが、皮膚に優しく、肌荒れを防ぐ効能もあります。 

と以上のように、身近な事例に触れ、諧謔を交えて本来硬い話題を平易にわかり易く解説されました。その結果、聞き手に水の消費に対する節約意識の醸成と有機農業で栽培される農産物への消費意欲のたかまりを与えたことは間違いありません。

講話の前後に行われたオーガニック野菜の販売は、参加された皆様に好評で、大変な賑わいでした。  (参加者34名)