バンクーバーの顔

バンクーバーの街には幾つかの大事な人の顔が在る。

まず、B C大学内の人類博物館の展示の中で非常に気に入っているのは誕生しつつある人類の顔である。カナダ北西海岸沿岸の先住民ハイダ族の神話を復活させた人間の誕生である。大きな貝殻の中から生まれ出てくる生の人間の上には巨大なレイブンが立ちはだかり大きく羽ばたいている。ハイダ彫刻家ビル・リードの木彫(The Raven and the First Men)がそれである。アラスカ檜を彫ったエネルギーの噴き出るような美しい白木彫刻である。

初見での衝撃は大きかった。やはり人間は苦難を背負って生まれ出て来たのだろう。正にお釈迦さまの言う四苦八苦の様相である。四苦とは生老病死である。この彫刻の前に立っていた時私は、人間は何故苦しむ為に生まれて来るのだろうと考えながら描いていた。不幸にも博物館内では水も絵具も使用できないので水溶解性のインクペンで唾をつけて表情描写していた。


12 番通りとキャンビー街の東北角に立つバンクーバー市庁舎の北正面には眼下に公園を見下ろし町の中心を望める位置に堂々と北の空を見ながら構える英国探検船船長ジョージ・バンクーバーの銅像が見える。彼の記念碑は別にバンクーバー博物館のすぐ傍のバニエー公園に建てられている。彼の名前はアメリカのワシントン州にあるバンクーバー市にも名付けられている。バンクーバー島やジョージア海峡近海の沿岸の測量に大いに貢献したのである。


コールハーバーとローストラグーンの間に伸びるコーズウエイ(土手道)からスタンレイパークの中央正面から公園に入るとまず前方に立ちはだかるのがスタンレイ卿の銅像である。1886年バンクーバーに市政が敷かれ、1888年には英国コロニーの総督スタンレイ卿が当地を訪れ開園しスタンレイ公園と命名された。

その丘のすぐ東方下手にはバンクーバー市民が自慢にするスコットランドの吟遊詩人 ロバート・バーンズ(Rabbie Burnsとも愛称される。)の立像がコールハーバーを静かに見下ろして立っている。台座には彼の書いた有名な三つの詩が銘板に刻まれている。日本人が知る「蛍の光」も彼の作詞の例である。

昨年のCovid-19 最盛期にはこの銅像もマスクを掛けさせられていたのを見た。

最後に、昨年末大事な御顔を描いてみた。バンクーバーの七福神と呼ばれる方々である。殆どが桜楓会の会員であり笑顔が満ち満ちているのが素晴らしい。Zoom を使いこなし良く呑みに集まる方々のお顔である。

日本語教育家・コロシニア会矢野修三;御大老桑原誠也;桜楓会現会長久保克己;元桜楓会役員・ゴルフ愛好家井上正康;音楽家長井明;造園業協会会長岡田伸平;居酒屋小雪・東京カツサンド社長松本真子;ズーム撮影・似顔絵橋本潤一。