北太平洋の北の区画は、先ず本州と千島列島との東岸、カムチャッカ半島、アリュウシャン列島、アラスカ半島、サウスイーストアラスカ、クインシャルロット島、バンク―バ―島、サンフランシスコまでのアメリカ西岸辺りまで、とは何方も御存じのとおりです。地図で見ると大きく日本とカナダは遠く見えますが、実は地図の作り方の問題でして、実際には意外と近いことも御承知の通りです。 因みに、横浜とバンクーバーは約4,250海里(7,870キロメートル)。 参考までに、パナマ運河と横浜は7,820海里(14,450キロメートル)で、赤道の周りは21,600海里(40,000キロメートル)です。
太平洋との名前の由来は、マゼランが南米大陸の南岸を大時化を衝いて、太平洋へ出た時に静けさに感嘆して、静な海原、太平の海と名付けたことに依るものだそうです。この広い海一部を見ただけで、全体の名前になったわけです。勿論この広い海です。所によっては凪、所によっては大しけがあります。しかし、全体の傾向としては、赤道に近い所は平穏。北の端又は南極に近づくに連れて、気候の変動は頻繁になり、風が強く、その分波が高くなり、そして時化るというわけです.。
横浜を出て、シトカ へ向かっておりました。アッツ島の少し南側だったでしょうか。全長120メートルの船が (100メートル競走コースを想い出してください)それこそ木の葉のようになります。船橋(船の中央部にある見張りと、操船の為に高くなっている構造物4階建てのアパートを想像して下さい)から眺める前方の景色は灰色の雲だけ。グーっと持ち上げられるような感覚とともに、視界は不機嫌な黒い雲だけ。ふっと一瞬止まったかと思う間もなく、何もかも捨てて、下降。グーと引き込まれた途端、どっかーん!! しぶきで何も見えず。体は前へつんのめりそう。船首が波の山に突っ込んだんです。反動で船体は波打つようなゆさゆさする感じ(事実、船体は縦方向にしなっているんです。さもないと折れます)。 Screwが空転する音。前方の波の高さは20メートル以上。そこへ船首が突っ込んで、舷側からは、飛沫ではないんです。青い海の色そのものの海水が、どばーっと甲板の上に打ち込んで来ます。そして、次の波で船首が持ち上がるにしたがって、船橋の所まで押し寄せて来て、そこでまた飛沫になって跳ね上がります。これは、真正面に波を受けている時の話、普通は左右どちらからかの波を受けることになります。云うところの横揺れです。35度位の傾きも45度を超えると、壁と床が反対になります。予定より 1週間も遅れて入港後、船底にある燃料タンクを測定した所、燃料が増えていました。そんな筈はありません。潜水夫を雇て、船底を調べた所、船底の鉄板が緩んで、海水が侵入していたんです。もっともこれくらいでは船は沈みませんがね。時に起こります。又、不連続線が通過した直後に起こる現象ですが、風向がいきなり変わりますんで、風の向きと波の向きが一致しません。 となると、海面には云うところの三角波、つまり波の高さの割に波長が短い波が発生します。甲板上に積まれた荷物、例えば、コンテナー又は、木材などの流失の原因なります。又小型船には転覆の危険が発生します。これが時化の話、食事が大変です。テーブルの上のシーツは予め湿らせてあります。おつゆは駄目です。ビールはラッパ飲み。船酔いしている暇はありません。
それから数カ月後の無風の海は、箱根蘆ノ湖の水面と変わりません。こんなことってもあるんですなー。べた凪の水面、星の影が ゆらゆらーっと水面に浮かんでいます。やがて船の進行とともに出来た、波が砕くまでですが、ゆっくりと空を眺める気持ちの余裕も出て来ます。北極星は左舷側、天頂近くなっています。北斗七星もやはり左舷側ですが、真上の感じでした。
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