趣味のワイン造り体験記 (投稿者:山内昌文さん)
木の葉が色づき、ぶどう畑に収穫のシーズンを迎える頃、ワイナリーやワインマニアは仕込みで忙しくなる様です、南欧では自家製のワイン造りなども代々受け継がれている手法があるようです。桜楓会会員の八木原さんはホテル在勤時代にポルトガル人のダ・シルバー氏とジョージ ・フォンティーノ氏から伝統的なシンプルなワイン造りを教わった後、それ以来50年余もその方法で試行錯誤しながら造り続けています。添加物を最小限にして作られる伝統的なシンプルなワインとはどのようなものでしょうか。その仕込みは収穫されて潰されたブドウにメタンバイソルファイトとワインイーストを添加するだけで、後はワイン酵母の働きで発酵が始まり、その流れでワインを醸造します。約一年後、カーボーイ(中瓶)に醸造し寝かせできたワインを、ワイン用エレクトリックフィルターにかけて濾過します。白はより琥珀色に、赤はよりワインレッドのクリスピーな色になります。最後にボトルに詰めてコルクで栓をし、プラスチックシールで封印カバーをすると仕上げとなります。出来上がったワインは静かに温度と湿度に気を配りながら熟成させます。今回のシンプルなワイン造りの経緯を以下にまとめます。
記
<ワイン造りに必要な器具や材料を用意します。>
・デミィジョーン(54リットル入り太瓶)
・カーボーイ(23リットル入り中瓶)。
・プラスチックエアロック(発酵栓)炭酸ガス抜き
・サイフォンに使用する透明なプラスチックのチューブ。
*上記のデミィジョーンやカーボーイ、エアロックやチューブは熱湯で消毒します。雑菌の混入を防ぐためです。注意をしないとワインビネガーになる恐れがあります。
・電気フィルター器(Electric Filter)と Filter Pads Number #2(0.5ミクロンの粒子まで取り除きます)。
・Wine LALVIN ワイン用イースト(酵母)
・コルク(栓)とワインボトル(必要な数)
・ワインボトルラベル( 記入項目はブドウの種類名 産地 年月日 ワインヴィンテージ 醸造者名 酒精度 を記入する)。
<準備から仕込み、仕上げまで>
(1)2021年10月2日、バーナビーにある輸入業者「Beira Mar Importers and Deli」でカリフォルニア産等の数種類のブドウを販売していました。いくつかの品種を味見しました。「どれも糖度が十分で色合いも良く、ずっしり重い」。今年は赤ワインに「ズンファンディル」、白ワインは「ヨハネスバーグリスニング」に決め、既に潰されてバケツ入りジュースにしたものを購入しました。これで、ブドウを潰す手間が省けます。
(2)八木原さんのガレージに戻り、ここで仕込みに入ります。初めに、必要な容器や器具などを確認した後、カーボーイに白ぶどうジュースを入れます。
エアロックで閉じた後、布で覆い暗くし、今まで冷蔵庫で保存されたものを常温で保存します。その時の温度によりますが、今回は4日ほど経過した後に常温に戻ったのを確認してみてメタンソルファイトとワインイーストを混入いたしました。
(3)10月8日一週間後、ワインの仕込み具合をチェックしました。発酵が始まっていて経過は良好でした。
(4)10月11日 渡嘉敷優子さんが参加し、ワインの発酵具合をチェックしました。
(5)2022年7月2日 約9カ月後のワインの発酵をチェックしました。ボトリングまであと約2か月です。白ワインの方は少しまだ「ホギー」ですが、概ね試飲の経過は良好です。赤のほうは色合いもよく、芳香な香りを漂わせてくれました。
(6)9月カーボーイ瓶の白ワインと赤ワインに電気フィルター器でフィルターをかけました。
(7)フィルターのあとは琥珀色に澄み切った、アローマの効いた白ワインの出来上がりです。赤と白のワインをそれぞれボトル詰めにし、コルクプレッシャーで栓をします。
(8)コルクの栓の上から、プラスチックシールで封印カバーをします。
(9)ラベルを貼り仕上げとなりました。ラベルには仕込みの日付やブドウの品種名、自分の好きなプライベートワイナリー(名)と醸造者の名前は必ず記入してください。これで完了です。
最後にBC州酒税法では自家製ワインやビール等についての法規があります。パーソナルコンサンプションの範囲内では造る量などに制限はありませんが、販売や換金などはできません。法を遵守して個人で楽しんでください。ワイン造りにご興味を持たれる方は八木原さんまでお尋ねください。
(文・山中雄司, 資料提供・八木原昇氏)
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