新渡戸稲造紀念庭園の桜

この日本庭園の早春に咲く「染井吉野/ソメイヨシノ」の満開時が素晴らしい。又、この池畔には「大提灯(おうじょうちん)」や「大白(たいはく)」も混じっているそうだが、毎日庭に入っていない我々には未だに全てを観る機会は少ない。春の新渡戸庭園には毎日の様にドラマがあるのだろう。
染井吉野/ソメイヨシノが葉桜になった時期には此処にしか無いと言うめずらしい「滝匂い」と言う里桜が見事な冠状のたわわな枝を池に向かって張り出す時であり辺りは芳香で包まれる。すぐ隣に咲きだす「松月」も特徴ある刻みの深い白い花弁を開く。庭園では時の移り変わりで種々の桜がかわりばんこにショウオフするかの様に春のハイライトを創りだす。設計者森歓之助博士(千葉大)の為した造園の技であろう。遅咲き種として知られている「関山(かんざん)」、「滝匂い」、「松月(しょうげつ)」、「白普賢(しろふげん)」などは庭園の中心になる池に開けた明るい斜面に沿って岬の四阿(東屋)の周り、橋の袂などに配置されている。

ソメイヨシノの大木。(スケッチ)


「白普賢」桜。(スケッチ)


ソメイヨシノの葉桜をバックに明るい「滝匂い」桜が舞っている姿