晩夏から秋の三景

8月末、毎年行くサレー市のクレセントビーチ/マッドベイの東北端に位置するニクマッケル川の河口辺りでグループで夏の景観を描いた。水の青、緑の背景に沿って古くから水際に鉄道線路がクレセントビーチ・シップヤードやクレセントビーチ・ヨットクラブの目の前を走っている複雑なビューポイントが印象的だった。古い埠頭の木杭が妙に興味を加える。自分の立つブラッキー・スピット公園の岸辺の灌木や沼沢地の草など既に秋の気配を感じさせ始めていた。
9月に入って、15年ぐらい前に一度走った事のあるサンシャインコースト海岸線のギブソンス町、シーチェルト町から北へ向かいハーフムーンベイに住む友人宅に立ち寄らせて貰った。高い岸壁に沿って巧妙に建てられた画廊付きの三層の邸宅は道路からでは想像できない灯台島の海の眺めや砂浜が綺麗であった。其処から数キロ西北にあるスマグラーコーブ・マリーン公園には面白い歴史がある。岩礁が形成する水の綺麗な小入江が入り組んでいて年中静かな船着場になっている。19世紀末中国人労働者達がCPR鉄道建設完成後密航者の手でUSに行く道として辿った所と記録されている。もう一説は1920年代の禁酒法による制限が厳しい時代にこの隠れ入江はタキシードアイランドで製造したラム酒をUSとの密輸に行われていたともある。元は私有地で建てたコテッジが公園施設として遺されている。計5km程のハイクは沼沢地を通り抜けると静かな明るい変化に富む岸壁に辿り着く。
10月早々にキチラノにあるスパニッシュバンクス海浜公園でイングリッシュベイに向かって写生する。夏の祭典は終わり静かになった曇雲の浜から霞んだバンクーバーの市街の近影に注目した。近年60から75階にまで聳える超高層ビルが立ち並び盛り上がっている。右手のロイヤルバンクーバー・ヨットクラブから停泊中の輸送船やスタンレイパークと全て毅然たる風景だと思う。浜では一人の女性が泳ぎから上がって丸太にもたれて読書中、犬の散歩中の男性が一人、新学期も始まった静かな一景である。

ブラッキースピット公園(BLACKIE SPIT PARK)の北東端からクレセントビーチ・シップヤードを見る

隠し入江(SMUGGLER COVE)の奥には元土地所有者のコテッジを州が買取りこの公園に残している

スパニッシュバンクスビーチからのイングリッシュベイ

を眺望する