刀剣女子(投稿者:越 勤さん)

皆様は刀剣女子という言葉を聞いたことがあるでしょうか?私も初めてこの言葉を聞いた時は、何のことだろうと思いました。どうやらそれは、刀剣乱舞というゲームを通して日本刀に興味を持った若い女性のことのようです。事実、ニュースなどを見ますと、博物館の刀剣展示室や、刀剣展示会などに女性の姿がたくさん見られるようになりました。
https://youtu.be/PxZNUsvU4XA
私が学生だった頃は、刀の勉強会は中年と高齢の男性ばかりで、女性は皆無でした。その頃に比べますと、何となく刀剣界も華やかになった感じがいたします。
実は、この刀剣の世界は退潮気味でありまして、愛刀家の数も減る傾向にあります。
例えば、私の属しています公益財団法人日本美術刀剣保存協会の会員は、1973年には全国で8500名ほど居ました。しかしそれから50年ほど経った昨年は新入会員が少なくなって3700名に減っています。
そうしますと何が困るかといいますと、全国に200近くある刀剣店の経営が厳しくなります。また、技術を絶やさぬよう頑張っている現代刀工の人達、そして研師や鞘師、柄巻き師、白銀師などの刀職者に仕事を注文する人が少なくなってしまいます。この人達の生活が成り立たなくなりますと、日本の伝統の技術が途絶えてしまうことになります。
そこで、こうした若い女性がこの世界に入ってきてくれることはありがたいんですが、何となくブームが去るとサーっと皆居なくなるような気がします。この人達の中から、本当の日本刀の美しさに目覚めて、愛刀家になる人が僅かでも居てくれたら嬉しいんですが。
明治維新の頃は、全国に推定500万振有ったといわれている日本刀ですが、現在日本で登録されている刀は約250万振といわれています。
桜楓会の会員の皆様の中にも日本の文化に興味をお持ちの方もおられると思いますが、日本刀は何となく馴染みが薄いと感じられるかも知れません。しかし、日本刀は武器であると同時に美術品でもあって、日本の貴重な文化遺産である事をご理解いただきたいと思います。
千年以上の歴史のある日本刀やその技術が途絶える事無く、後世に伝えられていく事を切望して止みません。

(投稿者:越 勤さん)