富嶽三十六景 江戸日本橋

2019 年のニュースレターでは浮世絵を取り上げていきます。その第一回は葛飾北斎の浮世絵から「富嶽三十六景江戸日本橋」です。
これは東海道の起点であり、魚河岸として栄えた日本橋(長さ約五十メートル)と、遠くに江戸城、その左手奥には富士山、そして左右の蔵を大胆ともいえる遠近法で表し、遥かな富士山へと続く距離感を平面上に見事に描いています。一番手前の日本橋の上は人々でごった返していて、その様子を描いた部分を奇抜なまでに切ってあり、それが逆に橋の上の活気を、見えていない部分まで想像させるとい う、まるで現代のポスターデザインのような優れた構図です。北斎は西洋画の構図を学んだそうです。彼は 長命で、1760 年から 1849 年まで生き、享年は 90 歳。生涯、酒も飲まずタバコも吸わず、金銭に無頓着で、 ひたすら絵を描き続けた人生でした。彼の浮世絵はヨーロッパに渡り、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホなど 印象派の画家達にも強い影響を与えました。