山下町日比谷外さくら田2020.12.25 21:04この浮世絵シリーズも今月が最後となりました。 最終回は季節柄お正月らしいものをと思い、歌川広重の名所江戸百景から「山下町日比谷外さくら田」を選びました。 描かれている場所は、現在は埋め立てられてしまった江戸城のお濠の一角、向こう岸には肥前佐賀藩鍋島家の上屋敷の立派な赤門と漆喰なま...
真間の紅葉手古那の社継はし2020.11.25 17:38今月は歌川広重の晩年の傑作の名所江戸百景より「真間の紅葉手古那の社継はし(ままのもみじてこなのやしろつぎはし)」をご紹介いたします。 描かれている場所は、千葉県市川市。その昔、真間の入り江と呼ばれた地区があり、入り江一帯には弥生時代にすでに集落があったとみなされており、またここに...
行燈の夕照2020.10.26 03:49鈴木春信の座敷八景シリーズから「行燈の夕照(あんどんのせきしょう)」をご紹介いたします。秋の夕暮れ、座敷で手紙を読む吉原の遊女。その手元を明るくしようと行燈に灯りをともす禿(かむろ)と呼ばれる見習いの娘。背景には美しく紅葉したもみじ。遊女の着物にも栗の穂と鳥脅しの鳴子(なるこ)が...
月に雁2020.09.26 03:46秋にちなんで歌川広重の傑作のひとつ「月に雁」をご紹介いたします。短冊形の画面に大胆に描かれた満月をバックに、羽を休めるため、空から水面に舞い降りる三羽の雁。澄んだ夜空に響き渡る雁の鳴き声まで聞こえてきそうな構図です。画面下部には藍のぼかしを使って雲の奥行きを描き、優美で物悲しい秋...
蛍狩 天明頃婦人2020.07.26 03:437月といえば七夕や蛍狩りなど日本ではさまざまな行事がありますが、今回はその中から蛍狩りの浮世絵を見つけたのでご紹介いたします。明治時代に活躍した浮世絵師兼日本画家の水野年方(みずのとしかた)(1866 年〜1908 年)の美人画集三十六佳選「蛍狩 天明頃婦人」です。島田に結った髪...
伯耆 大野 大山遠望2020.06.25 07:216月といえば日本では梅雨の時期。そこで今月の浮世絵は歌川広重の「六十余州名所図会(ろくじゅうよしゅうめいしょずえ)」から、雨の中の田植えの風景を描いた「伯耆 大野 大山遠望(ほうき おおの だいせんえんぼう)」をご紹介いたします。伯耆の国、大野という場所は三朝(みささ)温泉で有名...
鳴海 名物有松絞2020.05.25 22:10自宅待機中、いつの間にか春も過ぎ、いよいよバンクーバーのベストシーズン到来。少しずつ経済活動も動き出していますが、きままな旅ができるようになるのは残念ながらまだかなり先のようです。そこでやじさんきたさんで有名な東海道五拾三次から「鳴海 名物有松絞(なるみめいぶつありまつしぼり)」...
水道橋駿河台2020.04.25 22:00自宅待機の毎日が続くなか、いつのまにか桜も散り、本来ならば日本はゴールデン・ウィークが始まり、端午の節句ももうまもなく、のはずですが、それも今年はままならず。せめてここで鯉のぼりの浮世絵をご紹介しようと思います。下の浮世絵は歌川広重の名所江戸百景の中の「水道橋駿河台(すいどうばし...
東海道品川御殿山ノ不二(富士)2020.03.25 22:21新型コロナウイルス拡散防止のため自宅待機の毎日ですが、桜はもう八分咲きとなりました。そこで今月は葛飾北斎がのどかなお花見風景を描いた「東海道品川御殿山ノ不二(富士)」をご紹介いたします。ここに描かれている御殿山は東京都品川区北品川にあり、その昔、太田道灌が城を構え、徳川家康が江戸...
梅の枝折り2020.02.26 03:25新型コロナウイルスの影響で世界中が騒然となり、さまざまなところでその影響が拡大しています。情報に振り回されて恐々とする毎日ですが、それでも春は確実にそこまで来ています。そこで今月は江戸時代中期の浮世絵師で、美人画で有名な鈴木春信の「梅の枝折り」をピックアップしてみました。当時の江...
浅草金竜山2019.12.25 08:14歌川広重の「名所江戸百景」から、雪景色が美しい「浅草金竜山(あさくさきんりゅざん)」(安政3年制作)をご紹介いたします。この作品も広重の代表作の一つと言われています。画面手前、浅草寺の雷門(正式名称:風雷神門)から奥に見えているのは宝蔵門と五重塔。浅草のシンボルともいえる雷門の赤...
深川洲崎十万坪2019.11.25 08:11歌川広重の「名所江戸百景」から傑作の一つといわれる「深川洲崎十万坪(ふかがわすさきじゅうまんつぼ)」をご紹介します。ここに描かれている洲崎(すさき)は現在の東京都江東区東陽一丁目辺り。絵の上部にはまるで下界を包み込むように雄々しく羽をひろげた大鷲。反面、下界には雪が舞い、遠くの筑...