神奈川沖浪裏

葛飾北斎の浮世絵「神奈川沖浪裏」(制作年 1829 年 - 1832 年)です。これは富嶽三十六景シリーズの中の傑作と言われ、テレビなどメディアでもよく解説されています。海外では「Great Wave」と呼ばれていて、日本が世界に誇る名画の一つとなっています。
白波を立てて荒れ狂う大波と海、その波の間で木の葉のように危うげに舞う押送船。はかなげな船にうつ伏せて運命を任せるしかない人々。次の瞬間、この船はいったいどうなってしまうのか? 絵を見る私達まで息を呑んでしまう臨場感。そのはるか遠くにはまるで何事もないように美しくそびえ立つ富士山。動と静、生と死の危機感をこれほどまでに浮世絵という大衆文化の中に描いた才能と、これを花開かせた江戸の文化に驚嘆させられる一品です。
この摺絵の一部は 1870 年代後半にはヨーロッパに渡り、印象派の画家ゴッホなど多くの芸術家に影響を与えました。(浮世絵は版画のため大量に刷られていた。)
1905 年に出版されたドビッシーの「海」のスコアの表紙にすでにこの絵が印刷されています。(2枚目の絵)