隅田川水神の森真崎

歌川広重の浮世絵「名所江戸百景」から春らしい「隅田川水神の森真崎」をピックアップしました。 里桜が美しく咲き乱れ、春爛漫の、のんびりとした空気が伝わってくる作品です。
大きく描かれた向島の桜の木を手前に、当時建っていた水神社と森、遠方には筑波山を望んだ風景です。この水神社は現在の隅田川神社。場所は墨田区堤通です。
ここは水難、火難除けの神であり、この浮世絵が描かれた当時は、船頭たちばかりでなく庶民の間でも厚く信仰されていました。
対岸の真崎は、品川の御殿山や王子の飛鳥山と並ぶ桜の名所だったそうです。
歌川広重(1797 年〜1858 年)は江戸の火消しの家に生まれ、一旦は家督を継ぎ、その後に浮世絵師となった人です。
彼の作品はのちにゴッホやモネなど世界的な画家にも大きな影響を与えました。