歌川広重の浮世絵「東海道五十三次」から「庄野 白雨(しょうの はくう)」をご紹介いたします。
庄野というのは現在の三重県鈴鹿市にあり、東海道五十三次の45番目の宿場でした。その近くの峠の街道で突然の通り雨に合った景色を描いています。
白雨とは夕立やにわか雨のこと。峠を登るのは客を乗せた駕篭かき。かたや下っていくのは近隣の農夫と旅人であろうと言われています。西洋絵画のように立体的技法を用いて描かれたわけではないのに、竹林の濃淡、家屋の茅葺きの屋根、雑木林の風になびく さまなどによって、雨の強さ、道の険しさ、人々の慌ただしさが臨場感を持って伝わってきます。広重の瞬間を切り取 る洞察力に感銘を受ける一枚です。
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