鳴海 名物有松絞


自宅待機中、いつの間にか春も過ぎ、いよいよバンクーバーのベストシーズン到来。少しずつ経済活動も動き出していますが、きままな旅ができるようになるのは残念ながらまだかなり先のようです。
そこでやじさんきたさんで有名な東海道五拾三次から「鳴海 名物有松絞(なるみめいぶつありまつしぼり)」(歌川広重作)をご紹介いたします。
愛知県名古屋市にあるこの地域は東海道沿いにある古い宿場町として、また戦国時代には桶狭間の戦いが行われた地域としても知られています。江戸時代、ここ有松村は農作地が少ないこともあり、新たな産業として興されたのが有松絞りで、これによって村は繁栄したそうです。
有松絞りは男性の方にはあまり馴染みが無いかもしれませんが、女性にとっては浴衣や帯揚げとして人気の手絞り細工です。この浮世絵も有松絞りを扱う大店(おおだな)が街道沿いに軒を連ねて繁盛している風景を描いています。歩きながら店を見ている女性、籠の中の客も、馬上の人も、みんな女性。かたや男性は手土産として有松絞りを求めたそう。うららかな旅先の景色が旅情を誘う浮世絵です。
今も現存する古い町並みは国の重要伝統的建造物群保存地区(2016年)にも指定されています。 作品は東京・広尾の山種美術館が所蔵しています。