真間の紅葉手古那の社継はし


今月は歌川広重の晩年の傑作の名所江戸百景より「真間の紅葉手古那の社継はし(ままのもみじてこなのやしろつぎはし)」をご紹介いたします。 描かれている場所は、千葉県市川市。その昔、真間の入り江と呼ばれた地区があり、入り江一帯には弥生時代にすでに集落があったとみなされており、またここにあった「真間の継橋」は万葉集や勅撰和歌集にも歌枕として登場しています。 画面手前の紅葉は日蓮宗真間山弘法寺の境内で、そこから遠くに二つの峰を持つ筑波山が描かれています。眼下左手には真間の手古那神社があり、社は万葉の美人で海に入水したと伝わる手古那が祀られています。江戸時代には安産と疱瘡に霊験あらたかとされ、参拝者でにぎわったそうです。 (真間とは、傾斜地、崖線、地形の崩れを指す上代日本語・日本の古語である。)