「バロック音楽」の副産物 ジャズとロックの名盤
旧聞に属する話題ですが、昨年の今頃、LPレコードの売り上げがCDを越えたというニュースが流れました。1980年代半ばに登場して音楽界に一大変革をもたらしたCDですが、栄枯盛衰は世の習い、一度はCDに駆逐されたはずのレコードが、長い時をかけて蘇り、ついに逆襲を果たしたというところでしょうか。
再び勢いを盛り返してきたLPレコードですが、その全盛期は1960年代だったとよく言われます。そして、その頃の音楽界の大きな動向としては「バロックブーム」が挙げられます。この時期、それまでほとんど知られていなかった古い音楽が新たなファンを獲得し、とりわけ、ヴィヴァルディの「四季」のレコードがベストセラーとなったことで、忘れ去られていたアルビノーニやテレマンなど多くの作曲家たちが、雨後の筍のように次々と復活していきました。
蘇ったバロック音楽の勢いはとどまらず、ジャズやロックにまで及ぶことになります。今月は、その時代の名盤から2つご紹介します。
「イエスタデイ」 ウェス・モンゴメリー(ギター) (’68アメリカ)
言わずと知れたビートルズの名作をジャズギタリストが弾いたものですが、バロックトランペットやリコーダー(縦笛)などを加えた前奏や間奏がバロック的な響きの粋なアクセントになっています。ピックを使わないモンゴメリーの柔らかいギターの音も聴きものです。
https://youtu.be/A2NZocMB6e4
「イエスタデイ」アルバム「ロードソング」(バロック風ジャズ)の中の1曲
「青い影」プロコル・ハルム(’67イギリス)
教会のパイプオルガンはバロック音楽を象徴する楽器で、その大家にバッハがいます。「青い影」は、電子オルガンによるバッハ風の伴奏に乗って歌われる曲で、ジョン・レノンも絶賛したロックの名作です。どことなく詩人のランボーあたりを匂わせる難解な歌詞も話題になりました。
https://youtu.be/8uUHmEIEtKg
「青い影」 日本語訳
・歌のないオルガンパートだけの演奏は、バッハの「G線上のアリア」風の響きが際立ちます。
https://youtu.be/G2LzSItsQ80
「青い影」 オルガンパート
・最後はオーケストラ伴奏の豪華版「青い影」です。プロコル・ハルムの歌手、ゲイリー・ブルッカーが、デンマークのオーケストラとコーラスをバックに歌う夏の野外コンサートの映像(’06)で、すっかりナイスシニアになったブルッカーのカッコよさと張りのある声に目と耳を奪われます。
https://youtu.be/St6jyEFe5WM
「青い影」 オーケストラ伴奏
恒例だったバンクーバー交響楽団「夏の野外コンサート」も、コロナ好転で眠りから目覚める日の近いことを祈りたいと思います。

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