川の流れのように「朗読とバイオリン」ポピュラー音楽編

5月15日に開かれる桜楓会主催のイベント「朗読とバイオリン」では、一人でも多くの方に喜んでいただけるように、役員たちは現在、準備に余念がありません。「文芸作品とバイオリン」というと、少し堅苦しいイメージを持たれるかもしれませんが、一部の人しか楽しめないようなイベントではなく、朗読を聞いて何かを感じられる作品や、どこかで聞き覚えがあるような音楽などをご用意して、皆様のご来場をお待ちしております。このイベントで演奏予定の曲目については、先月のニュースレターからご紹介を始めています。今月も巻頭言で、クラシック音楽からラフマニノフの「ヴォカリーズ」を取り上げましたが、クラシック音楽以外の曲も選んでおりますので、ここではそれについてお知らせします。

川の流れのように


演歌の女王、美空ひばり最晩年の名曲です。人生を川の流れにたとえた歌詞でよく知られていますが、この曲を歌ってまもなく本人が世を去ったので、「ひばり辞世の歌」と呼ぶべき作品となりました。作詞は、おニャン子クラブやAKB48の仕掛け人、秋元康です。この歌に出てくる「川」は、意外なことに日本の川や中国の大河ではなく、ニューヨークのマンハッタンを流れるイースト・リバーのことです。当時、ニューヨークに滞在していた秋元の目に映った川の流れから自然に生まれてきた歌詞でした。


ジュピター」(Jupiter)
サラ・ブライトマンなど大物歌手が歌ってよく知られている曲ですが、原曲はオーケストラ作品です。日本では、平原綾香が歌って大ヒットしました。曲名の「ジュピター」は、ローマ神話の全能の神の名前ですが、この場合は、太陽系の木星を指しています。


ガブリエルのオーボエ(Gabriel's Oboe) 映画「ミッション」より
発表以来、この曲は、あらゆる映画音楽の中でも最も優れた名旋律の一つとして謳われてきました。映画「ミッション」は、実話を元にした悲惨極まりない結末の物語ですが、そこにつかの間の一筋の光が射しこむようなこの曲の持つ広がりは、多種多様のアレンジで親しまれています。中でも、世界的チェロ奏者、ヨー・ヨー・マの弾いたCDはベストセラーとなりました。

 
スカボロ・フェア(Scarborough Fair) 
昔なつかしいサイモンとガーファンクルの歌です。原曲はイギリス民謡で、彼らがイギリスに遊んだ際、この曲に出会いました。歌詞の中に「パセリ・セージ・ローズマリー・タイム」などのハーブの名前が並んでいるのが、素朴なイギリスの田園風景を思わせます。「秋の日のヴィオロンの身に染みてひたぶるにうら悲し」は、上田敏の名訳で知られるヴェルレーヌの詩「秋の歌」(邦題「落ち葉」)の冒頭ですが、作者の耳には、ひょっとして、バイオリニストが弾くこの「スカボロ・フェア」でも聞こえていたのではないか。そんな思いにとらわれる調べの曲です。 ※「ヴィオロン」(仏)=バイオリン
ユー・レイズ・ミー・アップ(You Raise Me Up)
映画「タイタニック」では、アイルランド風の音楽が強い印象を残しましたが、この曲はノルウェー産ながら、その調べには前者に通じる響きがあります。これは双方とも、ヨーロッパ北方のケルト系の古い音楽を元にしているためと思われます。この歌は、歌詞の力強さから、「明日にかける橋」(サイモン&ガーファンクル)などと同じく「応援ソング」としてもよく聴かれよく歌われます。
川の流れのように https://youtu.be/d_Ns_B23LT0?list=RDGMEMhCgTQvcskbGUxqI4Sn2QYw 
川の流れのように https://youtu.be/VNtKoqC3M8I       ジュピター https://youtu.be/3Y_6pfrdmfI 
ガブリエルのオーボエ https://youtu.be/af1c_zEemvQ      スカボロ・フェア https://youtu.be/x4yxlW9UzmM
ユー・レイズ・ミー・アップ https://youtu.be/NhjpStz1CRg