琴線(きんせん)に触れる バイオリン音楽 朗読とバイオリンの音楽③

映画やドラマなどで、涙を誘われる場面に出会うことがよくあります。そして、そんな時は、音楽がさらにその感情を揺さぶったりします。こんな時は(フランス語がお分かりになる方は御存じなのかもしれませんが)「人の心を動かす、感動させる」といったニュアンスで「バイオリンを取り出す(sortir les violons)」という言い方が使われることがあるそうです。ここで興味深いのは感動させるものが他の楽器や歌であろうが、言い回しとしては「バイオリン」が使われていることです。これは、あらゆる楽器の中でも、とりわけ長い歴史を持ち、世界中で親しまれてきたバイオリンの表現力の豊かさや深さを言い表した言葉と言えるのではないでしょうか。
そんなバイオリンが活躍する、桜楓会主催行事「朗読とバイオリン」(5/15)で演奏される作品をまとめてご紹介します。
シチリアーノ(フォーレ)イタリア半島の長靴のつま先に位置するシチリア島は、音楽の世界では「シチリア―ノ」(シチリア風の)が有名です。人の心の揺れを表すかのような揺りかごのリズムによる「シチリア―ノ」は、多くの作曲家によって取り上げられましたが、フォーレによるものも高名です。          https://www.youtube.com/watch?v=9D-L1j9aUSc  フォーレのシチリアーノ
ユーモレスク(ドヴォルザーク) 曲名は「ユーモア」にあたるフランス語で、名前のとおりおどけたような滑稽さで親しまれていますが、曲の中間部分は悲しい響きに一転します。人生に笑いや涙があるように。 https://youtu.be/y23KfTqo24Q ユーモレスク 
愛の喜び(クライスラー) これも名前のとおり、愛する喜びがはじけるような音楽ですが、間に挟まれる優美にして、やや哀愁を帯びた部分がアクセントになっています。                        https://youtu.be/IH4ZonJ0PSk 愛の喜び
ロマ族(ジプシー) の音楽 「流浪の民」として、かつて「ジプシー」の名で知られたロマ族は、ヨーロッパを中心とした広い地域を生活の拠点として、民族差別と闘いながら、独自の文化を形成してきました。それは、特に音楽において際立った特徴を持っています。バイオリンは、彼らの音楽でも重要な役割を果たしていますが、楽器の構え方や奏法には独特なものがあります。
我が母の教えたまいし歌 (ドヴォルザーク) 「まだ子どもだった私に、この歌を歌ってくれたお母さんは、歌いながらいつも涙を流していた。今、私がその歌を子どもたちに歌う時、やはり私の褐色の肌を涙が濡らす。」 短い時間の中に、迫害の悲しみや、子を思う親の気持ちなどが凝縮された曲です。         https://youtu.be/ZAA7KwN0a8g  わが母の教えたまいし歌
                      https://youtu.be/tAE6hp269XM わが母の教えたまいし歌(日本語字幕) 佐藤しのぶ 
チャルダッシュ(モンティ) ロマ音楽の影響が最も顕著な国の一つがハンガリーで、「チャルダッシュ」はその代表的な曲種です。じっくりと心をこめて歌うような部分と激情に駆られた踊りのような部分がミックスされているのが特徴です。     
         https://youtu.be/cMOHAcjlIWs https:/youtu.be/Sk2yoOY8CTU チャルダッシュ