偶然?それとも真似?メロディのよく似た曲たち

先日、クイーン・エリザベス劇場のコンサートに行ってきました。                                      地元バンクーバー・メトロポリタン・オーケストラの「20周年記念演奏会」です。今回コンサートマスターを務められた長井明さんのご厚意で、幸運なことに初日のリハーサルを見学することができました。                                その日の演奏は、独奏者、指揮者、オーケストラともに、まだお互いに探り探りだったように感じましたが本番では見違えるように気持ちの通い合った好演を聞かせてくれました。喝采。 
ところで、桜楓会の皆さんには、私が書いたこのコンサートのご案内を事前にお届けしましたが、その中に 「坂本九の『上を向いて歩こう』とベートーヴェンの作品のメロディがよく似ている」ということを書きました。 実は、同じようなことが他の曲でもいくつか指摘されていますので、今回はそれらをご紹介します。
❖「雪の降る街を」は、ラジオドラマ用に中田喜直が昭和27年(1952年)に作った曲ですが、放送終了後も広く歌われる 名曲となりました。この曲はショパンのピアノ曲とメロディがよく似ているということが発表当初から言われてきました。                     
雪の降る街を https://youtu.be/Bcjg2jJq2JI  ショパン 幻想曲へ短調 https://youtu.be/5s2mtaQZQn0 
❖ショパンにはピアノ協奏曲もありますが、その中のメロディが、都はるみのレコード大賞受賞曲「北の宿から」と似ているという人が昔からいます。                       都はるみ 北の宿から https://youtu.be/QKmma_bRdQE  
ショパン ピアノ協奏曲第1番(1分24秒からそのメロディ) 反田恭平 ピアノ https://youtu.be/3bMF5wS7Mr4 
❖ブラームス(19世紀ドイツ)の歌曲に「四つの厳粛(げんしゅく)な歌」という作品があります。晩年、死を予感した作曲者が、聖書の言葉を歌詞として作曲した文字通りシリアスな作品です。題名に惹かれてレコードを買ったある日本人が、期待に胸をふくらませながら聴きはじめたところ、冒頭のメロディでズッコケてしまったそうです。なぜなら、それが有名な童謡にそっくりだったからです。          
四つの厳粛な歌 https://youtu.be/ac7cKbmME00  コガネムシの歌 https://youtu.be/NNt8pIQ-gSM
「コガネムシの歌」は、童謡詩人の中山晋平の詩に、作曲が野口雨情という大正時代の二人の大家によるものですが、「雪の降る街を」にしても、この曲にしても、若いころから慣れ親しんだメロディが自然に頭に浮かんで作られてしまったのかもしれません。  
クラシック音楽以外の世界にも、やはりメロディがよく似ていることが昔から指摘されてきた曲がいくつもあります。
ひと夏の経験(山口百恵) https://youtu.be/LRbhNu3tjkM 
コンドルは飛んでいく https://youtu.be/5e390jgHYqI 
星のフラメンコ(西郷輝彦) https://youtu.be/2tl-z02Evzs  
オリーブの首飾り https://youtu.be/ZDRnIUMcaGw 
夜明けのスキャット(由紀さおり) https://youtu.be/ZBynPuKTWg0
サウンド・オブ・サイレンスhttps://youtu.be/NC71lorXYcs
夜明けのスキャットについては、故大橋巨泉氏が強硬に「盗作説」を唱えていましたが、作曲者はそれについては黙して語らず。 両者が世を去った今となっては、真相は藪の中です。