思わず歌詞を付けたくなりました  木星 フィンランディア  ホルスト シベリウス

1月は行く。2月は逃げる。3月は去る。この語呂合わせのとおり、もうすぐ3月です。今年の元日に起こった能登半島大地震も発生からもうすぐ2か月になります。あらためて、犠牲になった方々のご冥福をお祈りするとともに、被災者の皆様の生活が、1日も早く元に戻ることを願うばかりです。
思えば29年前の阪神淡路大震災も1月のことでした。神戸の地で被災した私は、今回の震災のニュースに触れる度に、あの時の恐怖や悲しみや不安、長く続いた不便な生活などが、昨日のことのように思い出され、「震災で人生観が変わった」と語る人々の顔が胸をよぎります。
町が壊滅して人が大勢亡くなるような時には、音楽にできることは限られてしまいます。しかし、時が経つにつれ、音楽が人々を慰め勇気づけていくこともよくあります。阪神淡路大震災の後に生まれた「しあわせ運べるように」という曲もその一つです。これは、自らも被災した神戸市の小学校の先生が作詞作曲した歌ですが、それ以来、今日までずっと歌い継がれてきました。  

https://youtu.be/g-S6Wb35Bc4  

しあわせ運べるように (神戸市立住吉小学校合唱部)

今世紀になって発生した新潟中越地震でも、傷ついた人々の心に光を与えた曲があります。歌手の平原綾香がクラシック音楽に歌詞を付けた「ジュピター」です。元々は9・11のテロなどをきっかけとして作られた曲ですが、「人は皆ひとりじゃない」「寄り添うこと」などをメッセージにしています。原曲は、オーケストラのための組曲「惑星」(ホルスト 20世紀イギリス)の中の「木星」です。
https://youtu.be/aGWzRUdn0so 

「ジュピター」 平原綾香

https://youtu.be/3aXsQQ-ueBk 

組曲「惑星」より「木星」 3分11秒から「ジュピター」(平原綾香)の原曲メロディ

このように管弦楽作品に後から歌詞が付けられ、それが人々に救いや希望を与えるという例は他にもあります。不当な力に抵抗して誕生した「フィンランディア」(シベリウス 20世紀フィンランド)もその一つです。
フィンランドは、19世紀後半から20世紀にかけて、ロシアの圧政にあえいでいました。1899年に34歳のシベリウスによって作曲されたこの曲は、当初、フィンランドの本来の国名である「スオミ」の名でさかんに演奏され、フィンランド国民から熱狂的な喝采と支持を受けました。その愛国的な内容に脅威を覚えたロシア政府によって、この曲は一時、演奏禁止に追い込まれます。しかし、そこは「ペンは剣よりも強し」です。1904年のフィンランド国民の大ストライキがロシア政府に大きな打撃を与えたことにより、この曲も演奏が解禁され、曲名も「フィンランディア」と改められて、現在に至っています。そして「フィンランド第二の国歌」として愛されてきたこの曲にも、後に祖国愛を謳った歌詞が付けられました。 今日、3年目を迎えたウクライナ戦争ですが、戦争勃発直後は、それに抗議して、世界各地でこの曲が演奏されるニュースがよく流れたものです。
https://youtu.be/tIYCBxmnWXY  

フィンランディア オリジナル (日本語の解説つき) 

https://youtu.be/fE0RbPsC9uE   

フィンランディア コーラス付き(英語訳)

https://youtu.be/MEZWqcmO20Y 

フィンランディア賛歌(日本語訳)

https://youtu.be/5SxIW-MWT-Q  ロシア大使館前で歌うフィンランド人