私の海外旅行といえば、イギリスに四度、ドイツに三度、イタリアに二度、スペイン/ポルトガル、ギリシャ/トルコ、及びイスラエルに各一度、フランスにはリヨン近くの田舎に息子の友人の結婚式に招かれて一度行ったきり。フランスにはご縁がないと諦めていた。ところが今回ミネソタ交響楽団主催のセーヌ川を下るクルーズに加わることになった。息子夫妻と孫娘が一緒である。この旅を始めるに当たって考えたことは、第一に準備期間が短くクルーズが十日足らずなことを考え、未知の画家の作品を無理に理解しようとせずに旧知の作品を楽しむこと。第二にルーブル、エッフェル塔などの人混みには近づかないこと。
クネクネと曲がったセーヌ川を下るのだから船体は細く、旅の道連れは140人くらい。二階建ての船で中央の廊下を隔てて両側に寝室があり、どの部屋からも外の景色を望める。船の名は「ルノワール」と幸先の良い名前である。セーヌ川岸から見るのは山というよりなだらかな丘。フランスの柔らかさを感じる。その麓の岸に綺麗な家が並び、突き出た岩の色は白くて、やはりフランスもこれほど北東になると地質的にイギリスと繋がっていてドーバーの白い崖と同じに白いのかなと思った。川を下る所々で下船し徒歩またはバスで見物に行く。
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