セーヌ川を下る旅 (2)

待望のジベルニーではモネーの家と庭を見物。広い庭にはチューリップ、つつじ、勿忘草、その他あまたの花が咲き乱れている。睡蓮の浮いた池に掛かる緑の橋は彼の絵で有名。モネーの家も驚きだった。一ブロック近くある長い家で、家の中には数々の部屋が。そして幾つもの部屋に所狭しと飾ってあるのは浮世絵で、200点はあると思われる。北斎、歌麿、広重、豊国などの名がみえる。これを見て印象派画家の浮世絵傾倒ぶりがよくわかった。ここのギフトショップは美術館のギフトショップの中でも最高である。広くて、天窓があるために明るく、陳列された品の質も良い。この村の印象派美術館で興味深かったのはゴーギャンの書いた本「タヒチへの船旅」で、彼の挿絵が気軽い感じで面白い。


モネーの睡蓮の池に掛かる橋



モネーの家と庭の一部



モネーの家の一室。額に入った浮世絵の数々



次のオンフラーという小さい漁港は、近くのル・アーブルの町が栄えたために衰退し、それゆえ第二次世界大戦の戦禍を免れたという。ここは 17 世紀 初頭に今のケベック州にニューフランスとケベック市を立ち上げたサムエル•ド•シャンプレインゆかりの地であるようだ。たまに彼の銅像、記念碑を見つける。港を向いた家並みは間口が狭く異常に背が高い。良く見ると二軒の家が上下に重なっている。道を回って次の通りに行くと上側の家は通りに面している。土地の勾配を利用した税金逃れの苦肉の策である。徒歩のツアーの後我々四人はエリック•サティーの家を見に行った。家具は乱雑、壁紙に直接描かれた絵は彼が描いたものなのか乱暴、三階建ての螺旋階段は怖い。空洞の白い部屋に白のYAMAHAのグランドピアノがどんと置いてある。この作曲家は彼の作品から感じるよりずっとお変人だったのかなと思った。その夜「サカナ」で夕食。綴りは “Saquana”だがお寿司屋に違いないと息子は言う。はたしてちょっぴり日本風の内装。巻き寿司は寿司飯がイマイチだったが、さすがにブイヤベースは最高のお味だった。


オンフラーの二重層の家並み

(7月号に続く)