音楽の都ウィーンで最初のコンサートでは、ウィーン楽友協会劇場でウィーンフィル演奏のマーラー作第六交響曲「悲劇的」を聴いた。粒揃いの音が音響の良いホール一杯に一体となって響いてくる。こんなに洗練された音は聴いたことがない。指揮したフィンランド出身のクラウス•マケラは現在28歳。既に2020年よりオスロー、パリ、シカゴなどの常任音楽監督を務めるか務める予定の引っ張り凧。この若者がウィーンフィルを指揮する姿は頼もしかった。マーラーはウィーンフィルとウィーン国立歌劇の指揮者を務めた後に、追われるようにウィーンを出たが、今ではウィーンで神様のように崇められている。そのマーラーの作品をここウィーンで聴けたのは稀にない経験だった。私はマーラーを好きではない。しかし今回は「マーラーも悪くはない」と意見の変化を経験した。音楽作品も奏者による。
1869年完成の荘重なウィーン国立歌劇場では、オッフェンバッハの『ホフマン物語』を観た。観劇のあと近くのザッハ•ホテルで晩餐となった。このホテルは有名菓子店デメルとザッハトルテ(チョコレートケーキ)の発祥を争うホテル。メインとデザートの間に座を外した時、通路の壁毎にこのホテルに泊まった各分野の有名人の写真が何百枚と額縁入りで掲げてある。私が見た音楽関係人の壁には指揮者バーンスタインも入っているが、場所柄オペラ歌手が多い。ドミンゴ、カレラス、ジェッシー•ノーマン等。この日は12月16日。乾杯のとき私はジェーン•オースティンとベートーベンのお誕生日を祝った。
ウィーンフィルの演奏する楽友協会劇場は天井まで美しい
ウィーン国立歌劇場も外見が立派で、内装の天井の絵まで華麗である
コンサートハウスでは「ウィーンのクリスマス」を聴いた。ウィーン少年合唱団も出演し、ソロの少年の声の美しさは抜群だった。クリスマスの讃美歌もあればシューベルトの子守唄もある心の和むコンサートだった。
翌日はシュテファン大聖堂での「アドベントコンサート」へ。壮大な聖堂内に教会員は前方に座してミサに参加、我々観客は前売りの指定席で近くに備えたテレビ中継を見た。
クリスマスデイにはホーフブルク宮殿のチャペルでハイドンのミサ「聖ニコラス」を聴いた。ハイドンは安心して聴ける作曲家である。この夜はウィーン郊外のレストランで息子の誕生日祝いをした。
「ウィーンのクリスマス」
照明が変わってウィーン少年合唱団の登場
「アドベントコンサート」
クリスマスのミサで歌うウイーン少年合唱団
0コメント